【ネタバレ】「さいはてにて」を見てきました。

しつこく実家に居候中でございます。
あさってに上海へ戻るのでそろそろ荷物整理をしなければ…

と言いつつ昨日母と「さいはてにて」を見に行ってきました。
石川県民なら知ってると思いますが、能登地方の珠洲市でロケをした映画ですね。
母と映画を見に行くなんて10数年ぶり2回目ぐらいでしょうか。
(前回は踊る大捜査線…なんで見に行ったのか今でも謎w)

ネタバレありなんで、これから見る予定でネタバレ見たくない方は回れ右でどうぞ。



一言で言えば「コーヒーが飲みたくなる映画」でしょうかw
主人公の岬が豆を焙煎するシーンが何度も出てくるんだけど、本当にコーヒーのあの香りが漂ってきそうでした。実際見終わったあとコーヒー飲みに行ったしw

岬(永作博美)は4歳の時に別れ、8年前に行方不明になった父親の借金を背負い、唯一の財産であるという珠洲のボロい舟小屋へやってくるのですが、まず何でいきなり4歳以降会ってない父親が残した借金を相続するのかという。

たぶん、後半で出てきた「私が父を捨てたの」という台詞なのかなと。

なんか岬の両親の離婚の原因が岬にあるみたいなニュアンスを漂わせてた気がするんですが、回想シーンとかからはそんな雰囲気なかったんですよね…というより原因なんかわからなかった。なのでそこらへんちょっと曖昧なんですが、なんでか岬の中では「父親を捨てた」ということがすごく心に残っていて、今でも父親に会いたいと思っていると。その父親の思い出に浸りながら舟小屋を改装して珈琲屋を営みながら父親を待ち続けている。

その舟小屋の向かいの民宿に住むシングルマザーの絵里子(佐々木希)と、娘の有沙と息子の翔太(二人共小学生)。絵里子は高校も出ていないので金沢でキャバ嬢をするためほとんど家を空けていて、姉弟はネグレクト気味なんだけど、それでも母親が大好きで必要としている。健気でいじらしいなぁと思いました。どんな親でもやっぱり子供には必要なのかなぁ。
しかし佐々木希の演技がとても良かったです。始めの方の親子の食事シーンでは膝を立ててスマホをいじりながらくっちゃくっちゃ。有沙と翔太が喧嘩を始めたらひっぱたく。岬と打ち解けて生活がまともになってからはちゃんと子供たちとも向き合って行儀も良くなってる。最近のドラマとかあんま見ないので知らなかったですが、ちゃんといい役者さんになってるんですね。すごい。

印象に残った台詞では岬の「他人(ひと)にコーヒーいれてもらうっていいなぁ」ですかね。
岬にある事件が起こってそれを絵里子が助けて、二人共放心しつつコーヒーをいれようとしたら、絵里子が「私がやる」っていって、不器用ながらコーヒーをいれる。
たぶん岬は他人のためにずっとコーヒーをいれ続けてきてたんですよね。そうやって人を癒してきたけれど、自分が癒やされる機会ってあんまりなかったのかもしれない。心が弱った時に他人にいれてもらうコーヒーがどんなに心に染みるか、改めてコーヒーの魅力を認識したのかもしれません。そしてそれが岬と絵里子が打ち解けるきっかけになる。良いシーンだなぁと思いました。

あと面白かったのが「ヨダカ珈琲は通販で商売が成り立っている」というところ。あんなだーれも来ないような辺鄙な海辺で自家焙煎の珈琲店をやったって普通なら商売になるわけがないけど、岬にはもともとのお客さんがついていて、電話やネットで注文を受けて全国に発送する。佐川のお兄ちゃんが荷受にくるシーンがありましたw 今やお取り寄せは当たり前になっていて、場所のハンデなんてほとんどないんですもんね。今どきだなぁと感心しました。

あまり映画のレビューなんてしないのでとりとめのない感想になってしまったけど、ゆったり流れる珈琲の香り(実際はしないけど)を楽しみたい方はぜひ。